
「歯科医院は、歯が痛くなったときに行くところ」というのが一般的な概念です。
口が開けにくかったり顎の付け根から音がするとき、何科で診てもらえばいいのか分からない生活者が大勢います。また、自分の咬み合わせが正しいのか正しくないのかも、本人には良く分かりません。ましてや、咬み合わせを正しくすることで不定愁訴が改善する可能性があることを知っている患者さんは稀です。他にも、皮膚のアレルギーで悩んで長く皮膚科に通っていた方の本当の原因が歯科金属だったり、歯周病が全身の疾患に関連していたり…などなど、生活者が知らないけれど、歯科治療で良くなる症状がたくさんあります。
先生は歯科に関する多くの知識と常識を持ち、その中で生活しているので見えなくなっているかもしれませんが、歯科医って、本当にすごいですよ!と、私日々思っています。
でも、どのホームページを開いても一般的なことしか書いていません。他の先生も書いている一般的な話は、他の先生にお任せしておけばいい。文章を書くのに同じ時間を使うなら、先生にしか書けないことを書いてください。やたら難しい専門用語だらけのホームページもあります。同業の歯科医向けの文章ならともかく、生活者にそんな難しいことを書いても、みんなすぐページを閉じてしまいます。
先生が患者さんに本当に伝えたいのは何ですか?
患者さんに、先生がやっている治療のことを詳しく知ってほしいならそのことを書けばいい。「こんなつらい症状を抱えていた患者さんが良くなったから、他の似た症状を持っている人も諦めずに歯科で治療を受けてほしい」と思っているなら、そう書けばいい。
メーカーのリーフレットに書いてあることをそのまま載せたり、他のホームページの真似をして似たような文章を書いたりして楽して作っても、患者さんの心には響きません。
「オリジナルの文章を書くような時間も文才もないからなあ…」と思われるかもしれませんが、文才は必要ありません。先生のありのままの言葉がいいんです。生活者や患者さんが読みたいのは、先生が書く整ったきれいな文章ではなく、先生にしか語れない経験や事実なのです。
時間は、割いてください。患者さんに伝えるために、時間を作ってください。
今、文章を書くまとまった時間を作れば、その後、来院される患者さんに毎回毎回治療の説明をしたり、説得する時間が減っていきます。先生がこだわりをもった独自の治療をしているなら、なおさらちゃんと伝えてください。患者さんを幸せにできるのは、先生なのだということを忘れずに――。


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